
高鷲村雪祭り2004レーザーショウ
キト伝説2〜「奇蹟の花」
銀嶺の光
こだまする声
澄んだ空に 溶けてゆく 雄雄しき姿
キト 再び降臨
「お母さん、あの空のむこうからキトが飛んできたんだよ!」
「そうかい、ほんとうに来たんだねぇ。」
この少年はあることがきっかけで、伝説の大鷲キトに助けられたのです。
古くから高鷲村に伝わるこのお話をこれからみなさんにお送りしましょう。
母の病
昔、高鷲村に大変親孝行な少年とそのお母さんが暮らしていました。少年は小学校5年生、そり遊びが大好き、数学がちょっと苦手、でも優しくて正義感の強い元気な子です。親子水入らず、幸せな日々を送っていました。
ところがそんなある日、突然お母さんが病気にかかってしまいました。その病気とは、年とともに目がだんだん見えなくなってしまうというとても重い病気なのです。
幸いまだぼんやりとは見えるのですが、村のどのお医者様も
「こりゃぁわしらの手に負える病気じゃぁない。」と首を横に振るばかりです。
このままではいつかお母さんの目は完全に見えなくなってしまうのです。一体どうしたらいいのでしょう!
ただ、樹里斗絵巻という古文書に記された「千眼花」という花を煎じて飲めばたちどころに治ると、お坊さんから聞き、少年はその言葉だけを信じて高鷲の山奥の、もっともっと山奥へとひとり旅立つ決心をしました。
キトとの出会い
あれからもう2週間、来る日も来る日も歩き続け、少年はとうとう力尽きて倒れてしまいました。食べるものももう何もありません。
「お母さん、ごめんなさい、もう歩けません」
ふと少年は、お母さんから聞いた大鷲キトのことを思い出しました。200年も前、人々が寒さと飢えに苦しんでいるとき、山から食べ物を運んだ。しかし心無い人に銃で撃たれたが、村人たちの手当てによって奇跡的に蘇ったという。
「キトがいてくれたらな・・・キト・・・キートーーーォォォ!!」
少年は最後の力を振り絞って叫びました。
すると遠い遠い空から大きな大きな鷲が飛んできました。そうです、キトがやってきてくれたのです!少年のたった一声ではるかかなた200年の時空を越えて助けにきてくれたのです。
「少年よ、私はキト、そなたの探しておる千眼花のありかを教えてあげよう。私の背中に乗りなさい」
少年は驚きのあまり言葉も出ません。おそるおそるキトの大きな翼につかまって背中にまたがりました。
次の瞬間、ふわっと浮いたかと思うと一気に上昇し大空を飛んでいました。少年に笑顔が戻り、温かい羽のせいか、もう寒さも感じません。
しかし喜んでいたのもつかの間、雲行きが次第に怪しくなってきました。雷が鳴り、真っ黒な雲が行く手を阻みます。目をあけていられないくらいの猛吹雪の中をキトは勇敢に突き進んでゆきました。
すると雲の隙間から、槍のような形をした大きな山が見えてきました。
「ここからは悪霊の住み家。人間の立ち入る場所ではない。それでも行くか、少年」
「うん、僕大丈夫だよ!」
そう言うやいなや、キトは狭くて暗い不気味な谷に下りてゆきました。
奇蹟の花
キトは山の奥の狭い洞窟の前に降り立ちました。とても暗くて寒い場所です。番人をしていた悪霊を追い払うと、キトはこう言いました。
「ここからは君ひとりで行くのだ。よいか、途中何を聞かれても返事をしてはならぬ。」
少年は最初ブルブルと震えていましたが、勇気を出して中に入ると、そこは一面に花が咲いていてまるで天国のようです。すると、突然うしろで声がしました。
「お前のお母さんはもういない。なぜ花を摘むのか。」何も聞こえないふりをして少年は花を夢中で摘みました。
「ここから出られると思っているのか!キトなぞもういない。お前はここで終わりだ。」
少年は怖さのあまり金縛りにでもあったかのように動けません。でもお母さんのことを思うと不思議に力がわいてきました。
一目散に入り口にたどり着くとキトの背中に飛び乗りました。少年は助かったのです。
「キト、ありがとう、これでお母さんの病気も治るよね。」
少年が家に帰るとお母さんはほとんど目が見えないくらいにまで弱っていました。
「お母さん、キトに会ったよ、花も摘んできたよ」
「おお、キトが来てくれたかい、ありがたいことだねぇ、あたしなんかのために・・・」
「さあ、これをお飲みよ」少年が摘んできた花を煎じた薬をお母さんが飲むと、不思議なことにお母さんの目が開いたではありませんか!
少年は喜びのあまりお母さんに抱きついて泣きじゃくりました。
キトは上空からこの様子を見ていました。そして呪文のような言葉を唱え一気に急降下し、少年の家の周りに不思議な種のようなものをたくさん撒きました。
「おや、外を見てごらんよ」
今まで雪の原だった家の周りが春のように明るい色に見えるのです。
少年は外に飛び出しました。すると・・・
そこは一面の花畑!!
「お母さん!花がいっぱいだよ!」
「あぁ!きれいだね!こんなにきれいな花は生まれて初めてだよ!」
「キトが咲かせてくれたんだ。ありがとうー!!キトー!!」
遠く空から見守るキトにも少年とお母さんの幸せな笑顔がよく見えていました。
「少年よ、これからもお母さんを大切にな。」
キトはそう思ってまた高鷲の山へと飛んでゆきました。
これでお話はおわりです。
みなさんも何か困ったことがあったらキトを呼んでみてください。
もしかしたら、来てくれるかもしれませんよ。