高鷲レーザーショウ2012
「おとおり姫物語」について


◆高鷲レーザーショウもはや10回を数えることとなる。今回の「おとおり姫物語」は、郡上八幡が舞台となっている。郡上市は7つの市町村が合併してできた市で、高鷲もそのうちのひとつである。



きっかけ


物語のあらすじを考えるにあたり考慮したのは、地域性だ。
郡上八幡という地域性から考えて神仏に所縁のあるものにしてはどうか、という構想が私の中に以前からあった。

一般的に、郡上八幡というと、まず思い浮かぶのが、有名な「郡上おどり」だ。「かわさき」「春駒」といった曲は誰もが聴いた覚えがあるはずだ。その楽しげな曲調とは一見相容れないかのようなテーマをぶつけて物語全体に振幅を持たせて、尚且つ実際にステージで踊っていただくことで、より現実感を表現できる。まるで目の前ですべてが展開されているような臨場感が体感できる、と考えた。


そう、ストーリーは「悲しく」・・・



郡上おどり


郡上おどりの皆さんのご協力により、本番は実際にステージで踊って頂ける事になった。雪の中リハーサルもして頂きました。



(雪の中リハーサルをしてくださる郡上おどり保存会の方々)




テーマ


そこでこの「おとおり姫物語」、テーマは「信じる事」である。姫は母の病を治そうとして山に入り、邪神に召されるという悲しい運命を辿る。そして恨みを持った悪霊へと化身し村を襲う。すべて母への思いが姫を駆り立て、その思いが高じ、やがて自分自身を見失ってしまう。それは、山の神ではなく、卑劣な山の邪神を信じてしまうという、一見誰も見誤らない様な事さえも見間違うほど、交錯した状態だったようだ。


姫はそれ以来、神を信じられなくなり、悪霊へと姿を変えたが、一度キトにより八幡神社に封印される。その祭、「八幡神様御剣」を使って封印したが、何者かによってその剣が奪われ、姫はまた人間界へと舞い戻ってきてしまった。

というのが大筋のストーリーだ。思えば不運な姫であるが、これは私達にも通ずる内容ではないだろうか。
盲目的に何かを信仰するあまり、周りが見えなくなり、ついには罪を犯す。そういった事件が過去にもあった。
自分自身を見失うことの危険性、そして愚かさ。一体何を信じればいいのかわからないこの時代、人々は神仏にすがるかのように祈る。しかし、それだけでは問題は解決しない。その上で自分が何をやっていくか、何をすればいいのかを考えることが大切なのではないか。



リハーサルそして本番へ


レーザーは念入りなリハーサル抜きでは成功しない。且つ特効、照明、音響、といくつもの要素が噛み合ってこそ、最高のものが出来上がる。
前日は吹雪だったにもかかわらず遅くまでリハーサルを行った。



(吹雪の中でのシューティングリハーサル)


本番は幸運にも雪は止み、絶好のコンディションでレーザーショウが行えた。
極寒ではあったが、いい演奏ができたと思う。




キト伝説、というハコを借りてこんな現代へのメッセージを込めて仕上げてみた。
皆さんの心に何かひとつでも残せるものがあったならば、満足です。

皆さんのご協力に感謝しつつ。



                                          金子